CROSSROADS×Nagasaki  -クロスロード×長崎-

異国文化が交差した長崎を科学と情熱で探究

原爆を開発した、あるアメリカの物理学者のインタヴュー

こんばんわ。

明日12月8日は、大東亜戦争(太平洋戦争)開戦の契機となった、真珠湾攻撃の日です。

この日を明日に控えて、みなさんには問題提起をさせていただこうと思います

次の動画は、ハロルド・メルビン・アグニュー博士が広島を訪れて、インタヴューに答えたものです。
(Harold Melvin Agnew, 1921年3月28日 - 2013年9月29日)
彼はアメリカの物理学者で、広島に原爆を投下した際に、計装航空機として「エノラ・ゲイ(広島に原爆を投下した機)」を尾行した「グレート・アーティスト」に科学観測員として同乗しています。



この動画をご覧になり、現代を生きる日本のみなさんはどのように思われたでしょうか?

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原子爆弾を軽~く科学する 3 最終回

今回は、まず水爆と原爆の違いです。
太陽の話から始めましょう。

太陽内部は核融合反応によって80億年も燃え続ける.というすさまじいエネルギーを保有しています。1億5000万km離れた地球がこんなに温まるのも納得です。限りなく絶対零度に近い-270℃という宇宙空間を進んでくるにもかかわらず、です。

太陽の仕組み

水素爆弾というのは、原料として重水素・リチウムなどの軽い元素を使いますが、これを猛烈な力で水素を強引に近づけると、そのいくつかがうっかり一緒になってしまう。普通は原子核の周りに電子がまわっていて、水素がヘリウムになることはないので、「うっかり」くっつくためには相当な力が必要となります。

number of nucleons1

この図で左にある「H2」が重水素ですが、これを上部の「He」ヘリウムまでガッツリくっつけてしまうのが核融合です。Y軸を見ると、核分裂のエネルギーよりはるかに大きいことが図でわかります。

くっつきにくい重水素を強引にヘリウムにするためには、その周りに原爆を置き、爆発のエネルギーによって強引に「うっかり」くっつけてしまうんです。そうすると、例の質量欠損が起こってすさまじい熱が発生してしまいます。すなわち、原爆によって圧縮された重水素のうちいくつかがくっついて、ドッカーンと更に巨大な爆破を起こす、これが水爆の仕組みです。広島に落ちたウラニウム型原爆リトルボーイが15キロトン。ビキニ環礁での水爆実験の威力が15メガトン。すなわち水爆の方が1000倍となります。

以下にいろいろ比較して見ましょう

●広島型原爆「リトルボーイ」 TNT 15,000トン=15Kt
●長崎型原爆「ファットマン」 TNT 22,000 トン
●北朝鮮原爆         TNT 30,000 トン=リトルボーイの2倍
●通常原爆          TNT 100,000 トン
●水爆(アメリカ ビキニ環礁)TNT 15,000,000 トン=15Mtリトルボーイの1000倍
●最大水爆(ロシア)     TNT 50,000,000 トン


ベイカー実験
<ベイカー実験(1946年7月25日)>
実験で使用された 戦艦アーカンソーが水柱に持ち上げられている様子が見え、手前の海岸線には民家も見て取れます。

ブラボー実験
<水爆:ブラボー実験(1954年3月1日)>
この実験で「第五福竜丸」が被ばく。


ちなみに、なぜ長崎は「ファットマン(デブ男)」というデブ爆弾なのかを考えたことありますか?広島の「リトルボーイ」があんなに細い爆弾なのにと。

原子爆弾を軽~く科学する 1)に書きましたが、広島の「リトルボーイ」は失敗作で、全てのウランが反応しませんでした。そこで、ごく簡単に言えば、「ファットマン」は原料であるプルトニウムをより多く反応させるために、中心に置いたプルトニウムの周りに爆薬を仕掛けて、爆発によって内側に力をかけ、反応を促進させるために周りの爆薬分でデブってしまい、あのような形になっているんです。

Fat_man.jpg
<ファットマン>


ところで、もし北朝鮮の原爆が落とされると、爆心地から2kmが完全に破壊され、爆風は4kmに達します。2km範囲の人間はまず助かりません。4km地点では現代のコンクリート建築だと窓の傍にいない限り、地下でなくとも爆風はある程度防げることになります。
しかし、ロシアの持つ最大水爆が東京23区に落とされると、23区全域が約1,000℃になる。逃げるどうこうの問題でなく、人間は一瞬で蒸発してしまうことになります。

ただし、水素の核融合がごく少ない質量でも莫大過ぎるエネルギーを生むために、未来においては人類が制御できるなら最も理想的なエネルギーであることは間違いないでしょう。

また、原爆で懸念される放射線量(放射性物質量)はどの程度か。

●広島型原爆:約0.5京ベクレル (※「京(けい)」は「兆」の10,000倍)
●福島原発事故:約100京ベクレル


この放射線が人体に及ぼすのはDNAの切断です。これによって、細胞の突然変異や染色体異常、細胞死が起こります。だから、子供が被ばくするとDNAが切断されてしまうために、成長段階において正常な発達が出来ないことになってしまうのです。福島原発事故の際、子供への影響が特に心配されていたのはこの事実があるからです。


核融合のエネルギー利用に関して、岐阜県の土岐市で2017年3月7日に核融合施設の発電実験が開始しました。

土岐市核融合施設

核融合によって地上で100,000,000℃(1億℃)の熱が生み出されます。これには大変多くの見解が科学者から寄せられており、猛毒であるトリチウムの放出や、防護壁の強度問題などが指摘されています。鉄でさえ1,538℃で融点を迎えるのに、1億℃。果たして今の人類に制御できる技術なのかどうか…。

技術の進歩と制御、道徳観は相関するのでしょうか?


<大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所 >


■原子爆弾を軽~く科学する 1
■原子爆弾を軽~く科学する 2


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原子爆弾を軽~く科学する 2

今回は長崎の原子爆弾とは一体何だったのか?。また、今回も複雑な感情を抜きにして、物理的に考えられる威力と被害を書いてみます。

まずは、前回(「原子爆弾を軽~く科学する 1」)の予告通りのこの図から。Y軸がエネルギー、X軸が陽子と中性子の数です。


number of nucleons1

ここに「核分裂」と「核融合」の二つが描かれていますよね。人類が初めて経験した原爆はこのうち「核分裂」に当たります。
右端に「U 235」というのが見えますが、これが広島型原爆で使用された元素「ウラン235」です。現在は原子力発電でも使用されています。

そもそも、物質というのは不安定なのです。しかし、「Fe 56」というのを〇で囲ってますが、これがかなり安定している状態の物質、つまり「鉄」です。グラフの頂点にあります。逆に不安定なウランのような物質に、中性子を当てると、いくつかの物質に割れます。ストロンチウム90、セシウム137、ヨウ素131、またはプルトニウム、バリウムなどのいずれかになっていきます。
ストロンチウム90とセシウム137を足せば大体元のウラン235辺りになりますね。

原子爆弾核分裂


前回書いたように、ウランに中性子が当たって割れる時に、少し元の質量よりも減った分が爆破の熱エネルギーとなるのです。

・・・しかし、アインシュタインてスゴイですよね?
目に見えている物質がエネルギーという目に見えないものと実は同じ、ということに気づくあたり、さすがは天才です。

だから、皮肉にもこのアインシュタインの相対性理論によれば、物質が減った分が莫大なエネルギーになる、ということが利用されたわけです。

このウランの核分裂によって出てきた人工的な物質が「プルトニウム」なのです。これが長崎の原子爆弾「ファットマン」の原料となったのです。

そして、いかに効率よく破壊すべく、このファットマンを落とすかという実験が事前に行われました。
そこでの実験結果、物理的に最も破壊力がある高さ、これが上空「500m」でした。

図を作っておいたので流れを追ってみましょう。と、その前に長崎に原爆を落とした飛行機はコレです↓
Bockscar b29
Bockscar:Wikipedia

第一段階。
1.jpg
最適な破壊ポイントである「503m」地点でファットマンが炸裂する。

2.jpg
爆心地は↓
長崎爆心地
長崎市松山町171番地。東経129度51分47秒、北緯32度46分26秒

3.jpg
強力な衝撃波:「マッハステム」 が爆心地から半径300m地点で発生します。この「マッハステム」は上部からの爆風の広がりと地上の爆風反射が重なった点で、爆風の威力が数倍になる恐るべき衝撃波。

4.jpg
「マッハステム」の破壊力最大化。半径500m地点。

アメリカがこの「マッハステム」 を意図的に利用するよう計算していたことが最近の研究で明らかになりました。
アメリカの国立公文書館によると、1945年4月27日から開かれた「目標検討委員会」の記録で、会議の責任者であるトーマス・ファレル准将がマッハステムによる威力を事前に計算しておくよう指示していたのです。
原爆投下4か月前に開かれた極秘会議のこの資料によれば、 「爆発によって想定される被害の規模とどれくらい離れた場所にいる人間まで殺害できるのかを予測せよ」 というのです。
また、この文書によれば、放射能より爆風の効果が最も重要だと考えており、日本の都市をこの爆風で壊滅させることで、核開発の成果を確かめようとしたものでした。つまりは単なる物理実験なのです

そこで重要だったのが爆発させる「高さ」であると結論付けられました。住宅を全壊させる圧力であるのが「5 psi」。この破壊力を十分に発揮できる高さが約500mだったのです。

このマッハステムの威力は爆心地ではなく、最大化したのが爆心地から半径500m地点。ここにあったのが城山国民学校です。
城山国民学校

ファットマンの投下時、城山国民学校敷地内で事務を行っていた三菱兵器製作所職員、作業を行っていた挺身隊員、学徒報国隊員等158人のうち、生き残ったのはわずか20名。 また、校長以下の教職員31名と児童約1,400名(全校生徒の8割)が学校または家庭で爆死したと推定されています。写真の丸窓の校舎が今も保存されています。

次回は、原爆と水爆の違いなどを書きます。
           ↓
■原子爆弾を軽~く科学する 3 最終回




■原子爆弾を軽~く科学する 1

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原子爆弾を軽~く科学する 1

昨今の半島情勢を鑑み、ココは一番の懸念事項である「核爆弾」について知れるだけ知っておこう、という趣旨で今回は書きます。一応、感情論は抜きにして、物理的な破壊力についてまずは触れたいと企んでます。

唯一核爆弾を落とされた国:日本。そして、広島・長崎。何も知らないのはやっぱよくありません。

では、スタートします!!


「マンハッタン計画」、知ってますか?

1942年、アメリカで進められた計画の名称です。これで3つの原子爆弾が作られました。一つがウラニウム型、あとの二つはプルトニウム型。つまり、ウラニウム型が広島に投下された、通称「リトルボーイ」。プルトニウム型の通称「ファットマン」が長崎に投下されました。

800px-Atombombe_Little_Boy_2.jpg
<広島 ウラニウム型「リトルボーイ」>

Fat_man.jpg
<長崎 プルトニウム型「ファットマン」>


実はプルトニウム型の残りの一つは、日本に投下される直前の1945年7月16日、アメリカのニューメキシコ州アラモゴードのトリニティ実験場で、人類史上初の核実験に使用されたのです。したがって、日本に落とされるひと月前にはその凄まじい破壊力を、アメリカはすでに十分知っていたということになります。

この二種類の原子爆弾がどんな違いがあって、どんな破壊力なのか?なかなか具体的に知ることは難しいでしょう。長崎や広島の人でも知らない人が結構いると思うので、今回はより分かりやすく説明してみます!

・・・ただ、1000K(キロ)=1M(メガ)、1000M=1G(ギガ)、1000G=1T(テラ)は覚えておきましょう:(;゙゚'ω゚'):
○○丼の「メガ盛り」、ってメニュー。普通に考えるとキロの1000倍になっちゃいますが(笑)

さて、広島に落とされた原子爆弾であるウラニウム型の「リトルボーイ」。核分裂という物理現象を利用した爆弾です。核分裂とは何かというと、例えば水はH2Oというのは知っていますよね?これは原子ではなく、分子と言います。H(水素)が2個、O(酸素)が1個くっついている状態が水です。HやOといった物質の最小単位が原子です。ウラニウム型の元素がウランの同位体で「ウラン235」と言いますが、これが核分裂の連鎖反応をおこすという性質を利用して作られたのがウラニウム型の原子爆弾です。ウラン235の原子核は中性子を吸収すると2つに分裂するのですが、この時元の質量より少し減るのです。この減った分が光・熱エネルギーとして放出されます。この光・熱エネルギーが原子爆弾の威力となります。

ただ、この核分裂反応はかなり大きな熱エネルギーを発生させますが、分量はごくわずかなものでしかありません。しかも、広島のウラニウム型原子爆弾は失敗し、全てが反応しませんでした。

E=mc2(2乗)」という公式、見たことがあるでしょう。

アルバート=アインシュタインによる有名なエネルギーの公式です。
このEはエネルギー、mが質量、cは光速(毎秒30万キロメートル)を表しています。我々が普段使っているエネルギーというのは、物質の質量に光の速さの2乗をかけたものに相当する、というものです。

この公式を使っていろいろ計算してみましょう。…と、計算式を書けばまた非難が集中するので結論から言えば、1gの質量エネルギーが約90TJ(テラジュール)、TNT爆薬換算で1トンの熱エネルギーが約4.184GJ(ギガジュール)となります。

例えば、核分裂反応の際に、1gの物質が消失すると約22キロトンのエネルギーが出ることになります。東京ドーム全てに水を張ると124万立方メートルの水が入ります。
22キロトンのエネルギーを得るのに1gだから、東京ドームの中に全て入っている水が0℃から100℃まで沸騰するのに必要な質量はたったの6gほど。つまり、1円玉6枚あれば、東京ドームの水全てを沸騰させてしまうほどの恐ろしいエネルギーなのです。


核分裂を起こすと元の質量より少し減る、と先ほど言いましたよね?

広島のウラニウム型「リトルボーイ」を約15キロトン、長崎のプルトニウム型「ファットマン」は約21キロトンと仮定して前者は0.68g、後者は約0.95gがこの世から消滅した換算になります。たったこれだけの質量がこの世から無くなっただけで、広島だと約14万人、長崎は約7万4千人の方が一瞬で命を奪われました。

また、核分裂反応より凄まじいエネルギーが「核融合反応」です。これは太陽が燃えているエネルギーとしても知られていますね。次回は次の小難しそうな図を用いて、核分裂と核融合反応の違いとその威力を、出来るだけ早めにUPします。

number of nucleons

次回
■原子爆弾を軽~く科学する 2



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