CROSSROADS×Nagasaki  -クロスロード×長崎-

異国文化が交差した長崎を科学と情熱で探究

歴史をちゃんと理解するための経済学 4 国立の監獄に、なぜわざわざいた?

江戸時代。イギリスが撤退した後、日本との交易をしたヨーロッパの国は、いよいよ出島に押し込められてたオランダだけです。
出島1
出島 川原慶賀筆 

「そんなんみんな知っているし」、と思われるでしょう。中学2年生までにはほとんどの日本人が義務教育で習う話ですから。

しかし、この特殊性を17世紀初頭における、ごく簡単な経済学の観点から考えてみると、かなり違った見方、というか深い観方が出来ます

<条件>
1:日本は、掘ればまだ山ほど金・銀を持っている。
2:カトリック国(スペイン・ポルトガル)を徹底的に排除する(ていうか、してもらう)。
3:オランダはまだ独立戦争中だから武器を買う金がかなり必要。
4:日本との交易を行うのに、最近やって来た同じプロテスタントのイギリスが邪魔。
5:カトリックに嫌気がさした、時の江戸幕府にどうにか気に入られるようにする。


これら単純化した5つの条件さえクリアすれば、オランダの(清と朝鮮はいますが、おおむねヨーロッパ勢としては)独り勝ち確定です。

例えば代替物が金・銀でなくとも、今の日本で「石油」が大量に国内から産出されたら、(一概には言えませんが)今よりとてつもなく豊かな生活が出来ます。

ボクが子供の頃、産油国(たぶん記憶では)クウェートの小学生は学校帰りに、先生を通じて国王からのお小遣いもらえるということを知って、相当驚いたものです。でも、石油が大量に出たからといって、それをどうやって使うかわからずじまいで、買う人がさっぱりいなければこの小遣いを出す余裕ないでしょう

現代では石油をエネルギーや原料としてメインに使うという、ほぼ世界共通の、しかも世界という巨大な「需要」があるからこそ、石油が高価な金に換えられて、豊かになったアラブ諸国では子供らに小遣いを渡せるほどであった、ということを覚えておきましょう。

経済的に豊かになるには、まず「イイもの出来たから、売るよ」という「供給」より、「わ!ソレ、めっちゃ欲しい」ていう「需要」が必須です

こうして生じる、豊かな社会になっていくための構造を「インフレ・ギャップ」と言います。下に図で示しておきます。

インフレギャップとデフレギャップ

図の左の方ですが、赤いバーが先行しているのがわかりますよね?青いバーである本来の供給能力(潜在GDP)が赤いバー:総需要(名目GDP)より低いけど、機械化や効率の良い方法が開発されることで、総需要とのギャップが埋まっていきます。そうすると、また欲しい人(需要)が増えるからギャップが出来て、また企業は技術革新が必要になり、新たな商品が開発されていってギャップが埋まっていく。物価は当然上がるけど、給与もUPして、人々の購買意欲が盛んになって国民の生活の質がどんどん向上していく。

これを「高度経済成長」と言います。

「作る人を増やせば供給量もかなり増えるのではないですか?」と思われた人、スルドいです!!

ただし、それでは本質的な経済成長は出来ません。例えば今、かなりコンビニに行くと外国人留学生が働いていますよね?コンビニのバイトに人が足りないからです。けれど、彼らの得た収入は日本国内に全て残るわけでなく、必ず国外へ流出します。外国人労働者は違法だけど、彼ら学生は合法というのが法の抜け道になっているのですが、原則として経済成長には国内で人材を賄うことが必要なのです。

逆が「デフレ・ギャップ」と言いますが、日本では2009年からの民○党政権に移行して顕著に起こったものです。労働不足を補うのに、「外国人移民を1000万人受け入れるぞ」とほざいていましたが、経済学のセオリーに反する暴論です。

というのも、内需を拡大せずに安易な他国に頼るやり方では、世の中がデフレの寒風が吹き荒れます。100均がここまで流行った背景を考えてみましょう。給与が上がらず、労働賃金と原材料費がめっちゃ安い隣国で生産を行うことで、バブルが崩壊した不景気の中、通常よりも粗悪な品物だけど、安いからまぁイイか、と妥協して使用していたことでしょう。

デフレ下においては、このような粗悪な輸入品が広まり、当然ですが、およそ芸術が発達することはありません。また、若者が自動車の購入に興味を持たなくなったことと、デフレ不況とは密接にかかわっているのです。

この表の右にあるように、「デフレ・ギャップ」を埋めるようにして社会が豊かになることはまずありません。先進国の給与が平均で1.5倍ほどUPしている中、日本は0.88。京都議定書とかいうイカサマにひっかかり、温暖化防止とかいう名目で数十兆円も血税を無駄にしたばかりか、モノづくりを海外に依存し、失業者続出。自殺者も増加して、と、こうしたデフレ状況がバブル崩壊後、日本はずいぶん続いてしまいました。
メディアもさんざん煽った「子ども手当」に騙されて政権交代を選択した挙句、詐欺でやらずじまい。少しは義務教育で学ぶ政治・経済のことを理解しないと、と実感したハズです。

こんな基本的な経済原理さえ理解せずに、むしろ悪化させる方向に舵を思っ切りきるという、一体あの民●党政権て何をしたかったんでしょうか?日本を利するやり方をあえてやらなかった(てことは、裏を返すと特定の他国を利することになった)のは、わざと?とはあえて言いませんが…。

好景気になるためには緩やかな(約2%程度のインフレ)上昇が必要です。今のアベノミクスがちょうどこのラインに乗っているところなのです。あと1週間もしたら、2018年を迎えますが、嘉悦大学教授の天才:高橋洋一先生によれば、未だになかなか民間では実感のない経済効果は、来年からだんだん表れてくるという予測です。
アベノミクスの成果
データがちゃんと出てますから。

実測データが信頼できないなら、どこかの都知事が言ってましたが、「科学的に安全でも、安心できない」ということになります。なら、何を基準にすればイイんですかね?
ちなみに、こんな話をすると、すぐ「お前、自○党が好きなんだろう?」などと言われますが、残念ですが全く違います

政権与党がどんな党になろうと、経済政策さえ間違っていなかったら、ボクは問題ないと思っているくらいで、むしろ、今の与党が「消費税を10%に上げる」と、のたまわっていることは、またデフレの悪夢に戻すつもりかっ!と批判しているくらいですのであしからず。アクセル踏みっぱなしでいけば豊かになるのに、なぜ消費税UPというブレーキを・・・。

日本の高度経済成長期には、この「インフレ・ギャップ」を技術革新でどんどん埋めていくことで、日本は物質的に大変豊かな社会へと変貌を遂げました。あまり強調はできませんが、あえて言うと、物質的な豊かさがあって、人心もゆとりが出てくると思います


かなりズレましたんで、そろそろ話を元に戻します(;・∀・)

生産者にとっては、複数の他国が購買競争するから、当然販売値段は高くなります。これが、一国しか買わなかったらだったらそうはいかなくなるでしょう。前にもオランダ東インド会社の独占の際に同様のことを書きました。(※「出島表門橋開通記念! みんなで学ぼう、オランダ 16 - アジアへ(1) -」参照)

グローバル経済において、どこかから産出された金・銀、レアメタルなどを独占して大量にゲット出来ることなど、現代ではまずありえないでしょう。これが成功すると、どれほどの豊かさを享受できるようになるか…。

そして、先に示した5つの条件をクリアにすれば、オランダだけが日本にある豊かな金・銀の独占がまさに達成されようとしていることの利点を考えてみて下さい。

ケンペルが言った「出島は国立の監獄」という状況でも、その莫大な儲けを考えたら楽勝でガマンできるレベルだったのです

だから、「日本はオランダ人たちをあんな狭い所に閉じ込めて、なんて酷い!」ていうことを言う人もいますが、経済学の論理とまともな歴史の知識を総合すると、それがいかに短絡的な意見かがわかるでしょう

したがって、「国立の監獄の出島って、あんたらが莫大な利益を独り占めするために好きで入ってたんでしょ?」で終了です

ついでに言うと、「白人のための遊女は、吉原と違って、自由に出入りしてたし」です。

ここで上記の5つの<条件>を、これもごく簡単に検証してみます。

1:日本は、掘ればまだ山ほど金・銀を持っている。
→ のちも金山や銀山の開発が進んで、銅山も開発される。で、オランダに大量に持ってかれる(;´Д`)

2:カトリック国(スペイン・ポルトガル)を排除する(ていうか、してもらう)。
→ 幕府が、1624年にスペイン船来航禁止令、1639年にポルトガル船来航禁止令を出して正式に排除決定。代わりに「君ら、出島ね」となった

3:オランダはまだ独立戦争中だから武器を買う金がかなり必要。
 ヨーロッパでもいろいろあって、カトリック勢力から商業覇権を奪うことに成功。稼いだ金で武装できて勝利し、三十年戦争後に公式に独立

4:日本との交易を行うのに、最近やって来た同じプロテスタントのイギリスが邪魔。
→ アンボイナの虐殺と平戸での自滅でイギリスは勝手に撤退

5:カトリックに嫌気がさした、時の江戸幕府にどうにか気に入られるようにする。
→ 1637年に日本のカトリック信者が起こした「島原の乱」の際に、オランダは船から幕府を援助する艦砲射撃を行う。ここでも幕府の信用を得る

「オランダが独立出来たって、三十年戦争で勝ったからとか、スペインが衰退したからとかでなく、・・・ひょっとして根本は日本との貿易による利益が大きかったからじゃないの?」 ということも、実は真理の一面なのです。

こうやって、丹念にいろんな観点から捉えていくと、複雑な要因が一つひとつクリアになり、オランダの日本貿易独占の真相が明らかになっていくのです。

オランダ人が、なぜわざわざ出島にいたのか、だんだん理解が深まっていきますね!!

江戸時代が世界でも未曾有の平和を享受し、後の世界に衝撃を与えた精密な文化が発達したのは、この「技術革新」と無縁ではないのです。今の日本が、歴史上こんなに豊かだったという事実と要因を詳しく知って、未来の指針にしたいと、常々ボクは思っています。

では、次回もお楽しみに~!

dejima_agin_rogo-3.png

■ 歴史をちゃんと理解するための経済学 1
■ 歴史をちゃんと理解するための経済学 2 幕末通貨交換比率問題 
■ 歴史をちゃんと理解するための経済学 3 幕末通貨交換比率問題


テーマ:歴史大好き! - ジャンル:学問・文化・芸術

歴史をちゃんと理解するための経済学 | コメント:0 |
<<「PEACEBLUE」 の2017年を振り返る… | ホーム | 出島表門橋開通記念! みんなで学ぼう、オランダ 22 - アジアへ(2) アンボイナの虐殺 - >>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

| ホーム |