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出島表門橋開通記念! みんなで学ぼう、オランダ 8 - 聖書と活版印刷の相関 -

ルネサンスの三大発明~

ということで、コレ中学で習います。

1:羅針盤
2:火薬
3:活版印刷術


ウソです。全部チャイナにおける発明です。
まったく、どこまで西洋人の虚言を子供達に流布しまくるつもりでしょうか。

一応、これらの出自の話はおいて、今回はこれらがヨーロッパ人らにはどれほどの影響を与えたのか・・を明かす前に、以下個別に、簡単にその用途を書いておきます。

1:羅針盤(これがあるから海上での船の位置がわかる)=世界中出かけて行って有色人種を奴隷化できる。

2:火薬(これがあるから奇麗な花火が見れる)=国を滅ぼすような大量殺害が容易に行える。

3:活版印刷・・・今日のテーマはココです。

ドイツのヨハネス・グーテンベルクによって発明されました。後にマルティン・ルターの「95ヶ条の論題」は活版印刷の技術によって広く普及し、贖宥状(しょくゆうじょう)を批判する文書をブランケット判の紙に印刷して配布しています。これが後の「新聞」の元になったとされている物なのです。

Gutenberg_Bible.jpg
<グーテンベルク聖書(Gutenberg Bible)>アメリカ合衆国議会図書館収蔵のグーテンベルク聖書15世紀にドイツのヨハネス・グーテンベルクが活版印刷技術を用いて印刷した西洋初の印刷聖書。

Gutenberg.jpg
<DATA>
ヨハネス・ゲンズフライシュ・ツール・ラーデン・ツム・グーテンベルク(Johannes Gensfleisch zur Laden zum Gutenberg)・・・本名読むと、紙、間違えた、神、間違えた、カミそうですが(;´∀`)
■1398年頃 - 1468年2月3日
■ドイツ出身の金属加工職人、印刷業者。

現代を生きるボクらにはなかなか想像するのが難しいのですが、「情報」はどのようにして伝わるのか、そのスピードはどの程度のものなのか、ということです。

パソコンやスマートフォンさえ持ってれば、今はほとんど瞬時に画像や文書をネットから獲得できます。昔と比較すると、天気予報なんかが良い例ですね。誰かの考えも同様で、文書だけでなくYouTube などの動画でライブ中継を世界中に配信できますから、これも光速に近いスピードを持っています。

16世紀、どうでしょうか?
物理的な流通方法を考えてみましょう

おそらく、当時伝達スピードが一番早いのはでしょう。
これは昔からいますが、生き物ですから距離と物量に限界があります。まずはこれを基本スピードとします。

蒸気船、1807年にアメリカ人フルトンによる外輪式蒸気船クラーモント号が初だと学校で習いますが、世界最初の実用的な蒸気船1783年にフランスのクロード・フランソワ・ドロテ・ジュフロワ・ダバンによって作られたものです。スピードは馬とあまり変わらないかもしれませんが、より大量に遠くへは運べます。

ほとんどの国で近代化の基礎となるのが鉄道です。しかし、蒸気機関車が初めて登場するのは1804年で、リチャード・トレビシックがイギリスで走らせたものです。ナポレオンが皇帝の位に就いた年です。次が、ジョージ・スチーブンソンで、公共鉄道で走行する最初の蒸気機関車「ロコモーション号」。さらに「ロケット号」で蒸気機関車の基本設計を確立し、早くて大量物流を可能にしましたが、いずれも19世紀の話で、まだまだ遠いです。

Stephensons_Rocket_drawing.jpg
<ジョージ・スチーブンソン製作のロケット号>


次に当時メディア(媒体)となったものを考えます。

751年のタラス河畔の戦いで、アッバース朝の軍隊に捕えられた唐の捕虜に紙職人がいたことで、まずは唐からイスラム世界へとが伝播します。

イスラムを通じて、イベリア半島へ伝えられたのが12世紀。ここでヨーロッパ初の製紙工場が作られました(作ったのは西洋人でないのがポイントです)。

しかし、物量的に最も多かったメディアはおそらく「」で、口頭伝承が主体をなしていたはずです。もちろん、他のメディアと比べると、人づてというのは一度に伝わる物量的にはごくわずかでしょうし、情報の精度がかなり低くなります。10人くらいで伝言ゲームやると、身をもって実感できますね(笑)

書き言葉(記号)を使うには、その記号を伝える教師と手段、場所の提供などの「教育システム」が必要となるのですが、次のような研究があります。

◆「1500年以前だと全印刷物の3/4はラテン語であり、1/12がそれぞれイタリア語とドイツ語であった。... フランクフルトとライプツィヒの図書市で売られたラテン語及びドイツ語本の比率は1650年で71:29, 1700年で38:62, 1740年で28:72, そして1800年では4:96であった。」
(S.H. スタインバーグ(高野彰訳)『西洋印刷文化史 : グーテンベルクから500年』東京 : 日本図書館協会, 1985, p.126)

◆「中世の西ヨーロッパにかぎって言えば、そこの知的生活は、もっぱらラテン語の読み書きによって行われていたので、書くということはかならずラテン語で書くことを意味し、それを学ぶための文法は、もっぱらラテン語のためのものであった。」
(田中克彦『言語からみた民族と国家』東京 : 岩波書店, 1991.9 (同時代ライブラリー ; 81), p.5)


国民が文字を読んだり書いたり出来る割合を「識字率」と言いますが、16世紀のヨーロッパでは庶民の間ではほぼゼロに近いものです。これを証明する、こんな調査研究もあります。

◆1837年当時のイギリスの大工業都市での就学率は、わずか20~25%だった。
19世紀中頃の、イギリス最盛期のヴィクトリア時代でさえ、ロンドンの下層階級の識字率は10%程度だったという。
フランスでは1794年に初等教育の授業料が無料となったが、10~16歳の就学率はわずか1.4%にすぎなかった。<『大江戸ボランティア事情』(石川英輔・田中優子著、講談社)より>

江戸時代の幕末期では、武士階級はほぼ100%が読み書きができたと考えられている。
町人ら庶民層でみた場合も、男子で49~54%、女子では19~21%という推定値が出されている

江戸に限定すれば70~80%、さらに江戸の中心部に限定すれば約90%が読み書きができたという。<『「奇跡」の日本史』(歴史の謎研究会編、青春出版社)より>


話はちょい逸れますが、なぜ江戸時代はあのように統制のとれた平和な世の中だったのかという理由は、ボクは間違いなくこの「識字率」の高さが関係していると考えています
例えば、時の政府が街角に「今後この辺りで○○してはいけない」と書いた立て看板を置くだけで、文字を読める人たちがすぐに理解出来て従えるからです。逆にその分、政府による無茶な支配が容易になることも意味してはいますが…例えば、看板に「政府は今苦しい財政だから、来月から税を二倍ね~」と書いていたら、文字を読める人はしらばっくれるわけにはいかなくなるからです。「お前、看板読んでないのか!」と。

話をヨーロッパ事情に戻しましょう。

これらを総じて考えると、ヨーロッパの人たち(特に貴族や王族)は、自分たちの日常の情報を共有するために文字を使えるようになっていたのではなく、古典を理解するためにラテン語という言語を学んでいただけ、ということです。
一般市民は教養が必要ないので文字は必要なかったし、教会や貴族、王族にとってはそっちの方が都合良かったでしょう。文字化すると自分たちの悪事がバレてしまいますからね、聖書に書いてない「贖宥状」だとか…

だからこそ、日本と違ってヨーロッパの支配層にとっては、思想や制度を文字化するということがいかに危険だと思っていたかが想像できます。「あんたら、こんなことやってたのか!(怒)」となると、これも日本と違って大陸では様々な民族が混在しているので、すぐに暴動や戦闘に発展してしまうからです。

ここまで考えると、ルターがラテン語で書かれた聖書をドイツ語訳して、かつ、「活版印刷術」によって、まだ識字率はわずかであったにしても、日常言語で書かれた正しい聖書内容が教会に通う普通の人たちに広まる可能性、ということの重要性が理解できるのではないかと思います

ドイツ神聖ローマ帝国領であるオランダにも、このような経緯で聖書が広まっていき、オランダはカトリックを捨てて、カルヴァン派プロテスタントの国になっていくのです。

ちなみに近代日本に於ける西洋式活版印刷術の起源は、嘉永元(1848)年、長崎の阿蘭陀通詞:本木昌造(もときしょうぞう)がオランダ船から鉛活字と鉄製手引き印刷機を購入したことに始まります。次いで、安政三(1856)年には、長崎奉行所の西役所でオランダの器械を用いたのが最初の西洋式活版です

おおー、ナガサキ、オランダ・・・


「トム・ソーヤの冒険」「ハックルベリー・フィンの冒険」で有名なアメリカの作家:マーク・トゥウェインはかつてこのように言っています。
「今日の世界は良くも悪くも、グーテンベルクに負うところが大きい。全ては彼が起源であり、我々は彼に敬意を表する必要がある。… その偉大な発明に人類が受けた恩恵の千倍もの悪影響が影を投げかけているとしても」

この偉大な発明もあと数十年で消えていくかもしれません。インターネットの発明により、電子書籍の更に偉大な恩恵と悪行を兼ね備えた技術が更に進歩して広がっていくからです。マーク・トゥウェインは天国からこの世の中をどう見ているのでしょうか…。

では、次回へと続きます。お楽しみに~!

今日の気だるい昼下がりに、ハマクチ推奨曲です。


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